立教女学院短期大学のあゆみ

1967(昭和42)年度 ~ 1980(昭和55)年度

開学時の学校案内

 立教女学院短期大学は学院創立90周年を記念して、1967(昭和42)年に設立されました。立教女学院の伝統を受け継ぎ、短期大学の教育と研究の中にもキリスト教の精神が生き、短期大学そのものを真のクリスチャンホームたらしめることを念願として創立されたもので、4月10日に英語科167名の新入生を迎えてスタートしました。
 開学初年度は7月に、立教女学院軽井沢キャンプ場にてキャンプを、12月には聖マーガレット礼拝堂にてクリスマス礼拝を行いました。軽井沢キャンプはその後マーガレットキャンプ(注1)と名称を変え、夏季休暇中に行われました。
 開学2年目の1968(昭和43)年度には、英語科に教職課程を設置し、希望者は中学校教諭二級普通免許状(英語)の取得が可能となりました。9月に初代学長の杉木喬教授が急逝し、小川清学院長が第2代学長を務めた後、翌年2月に第3代学長として酒向誠教授が就任しました。同年度は6月に八王子大学セミナーハウスで、フレッシュマンキャンプの前身となるオリエンテーションキャンプが、盛夏には軽井沢キャンプ場で、サマーセミナーが開催されました。また11月には3日間の日程で第1回マーガレット祭が開催され、同月末には全2年次生を対象としたシニアコンファレンスが熱海暖海荘にて実施されました。こうして同年度末の3月25日には、英語科1期生160名が卒業しました。

開学時の学食(のちの天使園)

 1969(昭和44)年度にはフレッシュマンキャンプが2泊3日の日程で、伊豆天城山荘で行われました。また短期大学「紀要」の第1号が発行されました。
 1970(昭和45)年度には校舎を増築し、幼児教育科がスタートし、入学生142名を迎えて2学科体制となりました。幼児教育科にも教職課程を設置し、幼稚園教諭二級免許状の取得が可能となり、7月には「乳幼児研究室」が、10月には愛児研究所「天使園」が開設されました。この年度からアセンブリーアワー(注2)も始まりました。また当時の大学では珍しかった「父母の会」の初回が開催され、短期大学報「おとずれ」第1号が発行されました。
 1971(昭和46)年度には図書館報「パピルス」第1号が発行されました。3月には幼児教育科1期生134名が卒業しました。

開学時の図書館(1号館2階)

 1972(昭和47)年度には専攻科を設置し、英語専攻に13名、幼児教育専攻に21名が入学しました。この年、ロンドンで、他の短期大学に先がけてイギリス・セミナーが実施され、参加学生たちは現地で英語を学ぶことにより、多大な成果を得ることができました。また海外セミナーに参加できない学生のために、軽井沢イングリッシュセミナーを同じ時期に開催し、外国人学生と寝食を共にしながら英語を学ぶ、有意義な場が持たれました。この年のアセンブリーアワーでは、作家の遠藤周作氏の講演も行われました。
 1974(昭和49)年度には、学生たちの生活面や精神面をサポートする「学生相談室」が設置されました。1975(昭和50)年度には地域社会への貢献と交流を願って、第1回公開講座が開催されました。1979(昭和54)年度には乳幼児研究室で、2・3歳児を対象とした10名以下での小規模な集団保育を開始しました。1980(昭和55)年度には国際教育の充実と海外の大学との積極的な提携を目指して、内外研修センターが発足しました。また、短期大学としては珍しい学芸員課程も設置されました。

  • 注1 対話や活動を通して友人同士や先生方との相互理解を深め、大学生活をより有意義なものとすることを目的とした自由参加のキャンプ
  • 注2 キリスト教に基づき人間の生き方や生きる意味を考える全学的なプログラムを行う時間帯。礼拝のみならず、講演や音楽会、学生企画のプログラム等が行われ、形を変えながら40年以上続いた。2013年度から教養科目「キリスト教と立教女学院」の全学必修化に伴い終了。

1981(昭和56)年度 ~ 1990(平成2)年度

 1981(昭和56)年度には米国ニューヨーク州のウィリアム・スミス大学および、ミシガン州のウェスタン・ミシガン大学と協定を結び、成績優秀な卒業生が学長推薦で編入することが可能となりました。本学で修得した単位が広く認定されることとなり、編入後2年間での学位(B.A.)取得も可能となりました。

新築された図書館

 1982(昭和57)年度には開学15周年の記念事業として、地上3階地下1階の独立した図書館が建築されました。同時にカレッジソングの学内公募も行われ、多数の応募作の中から「愛する友よ」が選ばれて、入学式や卒業式の折ごとに歌い継がれました。3月5日には記念式典と祝賀会が挙行され、記念誌『立教女学院短期大学のあゆみ』が発刊されました。
 1983(昭和58)年度には3月に第1回ボランティアキャンプが、三重県の菰野聖十字の家で行われ、卒業生3名と19名の学生が参加しました。この施設でのキャンプは2011年度まで継続しました。この年には1期生が中心となって、「立教女学院短期大学卒業生の会」が発足しました。これによって卒業生同士の絆が強くなっていきました。
 1984(昭和59)年度には第4代学長に名取多嘉雄教授が就任しました。
 1985(昭和60)年度からはフレッシュマンキャンプが科別の実施となり、英語科は清里の清泉寮で、幼児教育科は伊豆の天城山荘で行われました。図書館では、地下に設置したAVルームで図書館所蔵のAV資料を視聴できるようになり、また学外者への図書・雑誌の特別貸出を開始しました。またこの年から「父母の会」とは別に、保証人を対象とした「学長を囲む会」が、奇数月の月末の土曜日に実施されるようになりました。
 1986(昭和61)年度には、地方在住の卒業生及び在学生保証人を対象とした第1回「立教女学院短期大学の集い」が11月に大分県(別府)で開催されました。その後愛知県(名古屋)、北海道(札幌)、宮城県(仙台)等各地で催され、1989年1月の第10回まで続きました。

5階建ての新校舎

 1987(昭和62)年度には創立20周年を迎え、10月7日に記念礼拝と祝賀会が行われ、記念事業として新校舎の建築工事が始まりました。
 1988(昭和63)年度には第5代学長に高桑啓介教授が就任しました。4月に創立20周年を記念する5階建ての新校舎が落成し、6月に増改築校舎竣工祝別式と祝賀会を行いました。卒業生有志および在学生・卒業生父母有志の方々から寄贈されたポジティフオルガン(注3)を5階会議室に設置し、少人数の礼拝やオルガンの練習などに利用されました。また『立教女学院短期大学二十周年記念誌』が発刊されました。
 1989(平成元)年度には第6代学長に速水敏彦立教大学教授が就任しました。  1990(平成2)年度には1972年度まで本学の教授を務めた作家・児童文学者の福田清人先生から蔵書の寄贈があり、図書館内に「福田清人文庫」が開設されました。以後2009年度まで図書館企画として、「福田清人文庫の集い」(講演会・展示会)が継続して行われました。

  • 注3 移動が可能な小型のパイプオルガン

1991(平成3)年度 ~ 2000(平成12)年度

 1991(平成3)年度には、提携大学へ留学して取得した単位を卒業に必要な単位として認定する、単位認定制度が始まりました。この制度により留学中の学修を復学後に有効活用できる道が開かれました。天使園では創立20周年記念礼拝を行いました。

学生ホール

 1992(平成4)年度には9月から11月にかけて、創立25周年を記念した公開講座が実施され、従来の一般講座やシリーズ講座に加え、初のオルガンコンサートが行われました。学生対象の企画としてはキリスト教センターの主催で、第1回スリランカ国際交流キャンプを2週間にわたって実施しました。なおこの年に、ウェスタン・ミシガン大学に留学中だった卒業生の大塚雅美さんが、交通事故に遭い逝去されました。その後ご両親の願いによってウェスタン・ミシガン大学に「大塚雅美記念奨学基金」が設立され、1993(平成5)年度からこの基金の利子が本学からの留学生1名に奨学金として授与されることになりました。
 1994(平成6)年度には第7代学長に鵜川馨学院長が就任しました。この年にはアセンブリーアワーで、ミュージシャンであるTHE ALFEEの坂崎幸之助氏の講演もありました。
 1995(平成7)年度には大幅なカリキュラム改定を行い、他大学に先駆けてセメスター制を導入しました。またそれぞれの科にコース制を設け、英語科には語学中心の「現代英語コース」と幅広く学ぶ「言語文化コース」、幼児教育科には教職中心の「幼児教育コース」と幅広く学ぶ「子どもと文化コース」を設置しました。この年から米国ミズーリ州のスティーブンズ大学が提携校に加わり、また英国ロンドンのローハンプトン大学の夏期研修にも、本学学生が参加できるようになりました。

当時のコンピュータ・LL教室

 1996(平成8)年度にはタイプ・ワープロ実習室(401教室)をコンピュータ・LL教室に改装し、LLの授業時にコンピュータ上の語学教材が使用できるようになりました。ここで学生と教職員の両方が参加できる「コンピュータ基礎講習会」も実施されました。また、幼児教育科の卒業生が中心となって運営する研究会「第1回保育セミナー」が2月に開催されました。以後、教員、在学生、卒業生たちの交流や意見交換の場として、年2回のペースで、2019 (令和元)年度まで続きました。
 1997(平成9)年度には創立30周年記念行事として記念礼拝、卒業生によるオルガンコンサート、講演などを行いました。
 1998(平成10)年度にはこれまでの一般入試、指定校推薦入試に加えて、自己推薦入試を導入しました。これにより本学を志望する高校生の受験機会を広げることができました。この年には本学図書館と立教大学図書館との相互協力についての協定が成立し、学生は学生証、教職員は身分証で立教大学の図書館が利用できるようになりました。
 1999(平成11)年度には保育士養成施設として厚生労働省の指定を受け、幼児教育科と専攻科幼児教育専攻の合計3年間で所定の単位を修得した学生は、保育士資格の取得が可能となりました。これにあわせ専攻科幼児教育専攻の入学定員を40名に増やしました。
 2000(平成12)年度には第8代学長に佐藤悦子元立教大学教授が就任しました。この年から1年次の学業成績・課外活動を含んだ総合評価で優秀と認められた2年次生を対象に「立教女学院短期大学奨励奨学金制度」を開始しました。また、アセンブリー宗教委員会からカレッジコミュニティの充実を求めて、カレッジコミュニティ学生スタッフ(注4)の募集も始まりました。図書館ではインターネット利用が始まり、天使園では創立30周年を迎え記念礼拝を行いました。

  • 注4 学内外で行われる様々な行事やプログラムを主体的に担う学生による多目的奉仕グループ

2001(平成13)年度 ~ 2010(平成22)年度

 2001(平成13)年度には立教大学との単位互換制度が始まり、立教大学の授業科目の一部を履修できるようになりました。3月には、保育士養成課程を修め、保育士資格を取得したはじめての専攻科修了生を送り出しました。

マーガレット祭

 2002(平成14)年度には第9代学長に宮本瑞夫教授が就任しました。カリキュラム改定が行われ、両科のコース制は廃止となりました。この年度からは学内のIT化に伴って全学生にメールアドレスが付与され、普通教室だった217教室に37台の端末機器が設置されてPC教室となりました。また、専攻科幼児教育専攻の入学定員を50名に増やしました。
 2003(平成15)年度には335教室をPC自習室とし、ゼミ室として使用していた402教室をコンピュータ準備室としました。402教室は後に学院IT室として使われました。一方、学友会と宗教委員会の共催で、学生達の様々な技能・才能を発表するパフォーマンス大会が実施されるようになりました。またこの年から幼児教育科主催の「保育者のためのステップアップ講座」が実施され、卒業生の資質・能力啓発についての多方面からの支援が図られました。

 2004(平成16)年度には第10代学長に酒向登志郎前青山学院女子短期大学教授が就任しました。この年から新たに学内に国際交流センターが設置され、学生の海外研修や留学、その他国際交流に関する諸々のサービス提供の向上が図られました。また、三鷹台まちづくり協議会連携事業の「三鷹台こいのぼり祭り」に協力参加、杉並区図書館ネットワーク協定調印、杉並区と区内高等教育機関との連携協働に関する包括協定調印など、地域との連携が強化されました。

クリスマス礼拝

 2005(平成17)年度に専攻科幼児教育専攻の入学定員を80名に増やしました。また幼児教育科で社会福祉主事任用資格、幼児教育科と専攻科の3年間で児童厚生二級指導員の資格の取得も可能になり、卒業生の進路が広がりました。また初めて、オーストラリアのアデレード大学での海外語学文化研修を実施し、フィリピンのトリニティ大学とも提携を結びました。国際交流プログラムとしては西アフリカのベナン共和国から、2人の学生が約2ヶ月間本学の授業や行事に参加し交流の機会が持たれました。
 2006(平成18)年度には学内に「英語教育センター(MELC)」を設置し、ネイティブ教員による個別英会話レッスンや英語基礎学力充実のための補習講座、TOEIC対策講座などを実施するようになりました。こうして「国際交流センター」と併せて学生への学習支援サービスがさらに充実しました。またこの年には短期大学基準協会による初の第三者評価を受けて、「適格」と認定されました。

2007(平成19)年度には韓国の新丘大学との交流が始まり、韓国国際交流キャンプがスタートしました。また英語科では英語教育センター主催によるスペリング・ビー(注5)が始まりました。幼児教育科では専攻科幼児教育専攻の入学定員を150名に増やしました。また、幼児教育研究所主催の地域向け公開講座「土曜講座」を開始しました。天使園では認可幼稚園化に向けて新しい園舎が完成し、短大門の駐車場部分が天使園の園庭として生まれ変わりました。

 2008(平成20)年度には天使園が正式名称「立教女学院短期大学附属幼稚園天使園」となり、東京都の認可幼稚園として再出発しました。また理科室として利用していた218教室を全面改修し、調乳、離乳食、乳児保育等の実習に用いるようになりました。

 2009(平成21)年度にはヨーロッパ文化研修を実施し、学生たちはフランスでパリ・コレクションのバックステージのお手伝いをさせてもらうという貴重な経験をしました。
 2010(平成22)年度には、病気療養中だった酒向学長が逝去し、第11代学長に本学英語科の卒業生でもある若林一美前山梨英和大学教授が就任しました。この年から図書館の企画として「小論文コンテスト・書評コンテスト」を実施し、書評コンテストの優秀作品は「図書館だより」に掲載されるようになりました。なお3月11日に東日本大震災が発生したため、卒業式およびボランティアキャンプが中止となりました。

  • 注5 英単語でスペルの正確さを競うコンテスト

2011(平成23)年度 ~ 2019(令和元)年度

 2011(平成23)年度は東日本大震災の影響により、新入生キャンプやマーガレットキャンプが中止になりました。一方、2010年度卒業生のための卒業記念礼拝を5月の日曜日に行いました。礼拝と茶話会に多くの卒業生・修了生が出席し、学位記、修了証書を受け取りました。またこの年からMOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト)資格試験への支援が開始され、多くの学生がこの制度を利用するようになりました。

コンピュータ室

 2013(平成25)年度には、開学当初から続いた「英語科」を、これまでの英語教育を基盤に、グローバル化社会で必要とされるコミュニケーション能力を補強する「現代コミュニケーション学科」に改組し、新入生149名を迎えてスタートしました。これに伴い「国際交流センター」と「英語教育センター(MELC)」は、サービスラーニングに関するサポートを含む「ラーニングサポートセンター」となりました。この年には短期大学基準協会による2回目の第三者評価を受け、「適格」と認定されました。

 

 創立50周年を目前に控え、2016(平成28)年5月に理事会は、2017年度入学生の受け入れをもって短期大学及び天使園を閉鎖することを決定しました。これにより2017(平成29)年度に最後の入学生を迎え、2018(平成30)年度には2年次生と専攻科生だけの短大となりました。またこの年に第12代学長に大江敏江教授が就任しました。その後、2019(令和元)年10月に短期大学感謝礼拝、2020年(令和2)3月に最後の卒業式・修了式を行い、年度末をもって立教女学院短期大学は53年の歴史に幕をおろしました。

 

 すべての学生が巣立った2020(令和2)年3月末、坂下門から短期大学に向かって上がった所に、短期大学卒業生の会が制作したモニュメントが設置されました。プレートには次のとおり記されています。「短期大学卒業生(全51期)は この地で共に学び共に成長して参りました ここに心からの感謝を込めて 立教女学院短期大学卒業生の会 2020年3月」

卒業生の会モニュメント